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REPORT1 国道153号 新伊勢神トンネル 当社開発技術を適用し、CO2の「地産地消」を目指す

  • SDGs 人々に保健と福祉を
  • SDGs エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • SDGs 産業と技術革新の基礎をつくろう
  • SDGs 気候変動に具体的な対策を
削孔作業 「ドリルジャンボ」という重機によりダイナマイトを入れる穴を掘る削孔作業 「ドリルジャンボ」という重機によりダイナマイトを入れる穴を掘る
坑口部分 発破用の防音扉の上部から伸びる換気ファン坑口部分 発破用の防音扉の上部から伸びる換気ファン
工事概要
工事名
令和2年度 153号新伊勢神トンネル工事
事業主
国土交通省 中部地方整備局
工事場所
愛知県豊田市
工期
2020年10月~2024年3月
工事概要
NATM工法:発破掘削 トンネル全長1,900m
工事場所 地図
目次

地域の生活と物流を支えるトンネルをより強く、安全に

愛知県名古屋市から長野県塩尻市に至る国道153号(飯田街道)は、古くは「塩の道」として栄えた幹線道路です。この飯田街道の難所であった愛知県豊田市の伊勢神峠(標高780m)の下を通る「伊勢神トンネル」(1960(昭和35)年供用開始)は、豊田市の中心部と北東部の明川・稲武地区を結ぶ唯一の幹線道路として都市間の物流や地域の生活を支えています。しかし開通から60年以上が経過し、交通量の増大や車両の大型化といった時代の変化の中で、大型車両同士のすれ違いが困難な幅の狭さや急カーブ・急勾配などの構造的な問題を抱えており、交通事故の発生率が高い状況にあります。
これらの課題解消に向け、新たなトンネル「新伊勢神トンネル」が建設されることとなりました。「新伊勢神トンネル」は既存のトンネルよりも道幅・高さを拡大し、急カーブ・急勾配も回避しています。安全で災害に強い道路への改良により、交通事故防止や地域の物流・生活基盤のさらなる強化が期待されています。
本トンネルの建設にあたっては、当社が開発した山岳トンネル工事で発生するCO2の排出量を見える化するシステムを導入するなど、各種の先進環境技術を適用しています。

CO2を「見える化」し、エネルギー使用量を自動で最適化

本工事には当社開発のエネルギーマネジメントシステム「TUNNEL EYE」を導入し、トンネル工事に伴い発生するCO2排出量の見える化と換気設備の自動最適制御を実現しています。
本作業所に導入しているシステムでは、トンネル坑内のCO2濃度をリアルタイムでモニタリング・分析し、換気設備の運転を自動で最適化し、エネルギー消費の無駄をなくしています。本システムにより重機などから直接排出されるCO2排出量(スコープ1)の把握がリアルタイムで可能となり、車両類の省燃費運転の取組み効果が目に見えて分かるようになるため、現場に従事する人々の脱炭素化に対する意識の向上に繋がることが期待されています。
当作業所ではこれらの技術を導入することで、工事全体で約20%、特に換気設備関連では約40%の電気使用量の削減を目標に取り組んでいます。

「TUNNEL EYE」システム図

排ガスからCO2を回収・固定化し、CO2の「地産地消」を目指す

当社ではこの「TUNNEL EYE」に加え、CO2の「地産地消」を実現する「オンサイトDACS」技術の研究開発を行っています。
本技術は大気中のCO2を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」技術を用い、建設機械等が排出する排ガス中に含まれるCO2を回収します。そして回収したCO2と現場内で発生する残コンクリートやコンクリートの洗い水などの「スラッジ水」に含まれる酸化カルシウム(CaO)により、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成・固定化します。
これを吹付コンクリートの原料の一部として再利用することで、現場で回収したCO2を現場内で再利用し、CO2の地産地消を実現するというものです。
閉鎖空間であるトンネルの工事現場ではCO2を効率よく回収することが可能で、回収したCO2を環境配慮型コンクリートの原材料の一部として使用することで、CO2を環境中に排出せず、固定化することが可能になります。
当社は本工事での実証実験を予定しており、CO2のさらなる削減に向けた研究開発に取り組んでまいります。

  • 「オンサイトDACS」システム図
  • コンクリートの一次吹付作業 吹付コンクリートに回収したCO2を再利用する計画コンクリートの一次吹付作業
    吹付コンクリートに回収したCO2を再利用する計画

施工現場から

令和2年度 153号新伊勢神トンネル工事作業所 塚田浩司

令和2年度 153号
新伊勢神トンネル工事作業所
塚田 浩司

豊かな自然と地域の皆様に配慮した施工2023年6月末時点で、トンネル掘削は全体の半分を超え、覆工コンクリートは全体の4分の1強まで打設が完了しました。掘削開始から13か月、大きなトラブルもなく工事は進捗しています。しかし先進ボーリング調査により今後は当初想定より岩質が悪いことが判明しており、災害発生防止に向けさらに気を引き締めて工事を進めてまいります。
現場は豊かな自然に囲まれ、すぐ近くを流れる段戸川は人気の釣りスポットとなっています。濁水・油流出等による水質汚濁事故を発生させないよう現場管理を徹底し、地域の皆様にもご理解をいただきながら工事を進めてまいります。
2022年秋には稲武町でFIA世界ラリー選手権(WRC)が開催され、町は多くの来場者で盛り上がりました。工事の土砂運搬路が競技コースになっており、仕事中にラリーカーの走行音が聞こえたそうです。2023年も稲武町での大会開催が決定しており、今からとても楽しみにしています。