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ワルミ大橋
■沖縄の海をひとまたぎ~ワルミ大橋橋梁整備工事
ワルミ大橋は、沖縄本島の本部(もとぶ)半島と屋我地(やがじ)島を結ぶ海峡横断橋です。架橋地点の羽地内海(はねじないかい)は、台風時の船舶避難泊地として港湾計画に定められている海域で、水深が深く周辺は急峻な地形が続きます。
屋我地島の干潟は、高さ10mを超えるオヒルギ(マングローブ植物)をはじめ3種類のマングローブ植物が生息し、チドリなどの渡り鳥が渡来する自然豊かな地域で、国指定鳥獣保護区として指定されています。
こうした背景から橋梁架橋にあたっては、橋種選定委員会が設置され、海峡内の環境保全、船舶航行の安全性や景観保護の観点から、水域内に橋脚のない上路式RC固定アーチ橋が採用されました。
位置図
工事概要
橋梁名 | ワルミ大橋 |
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発注者 | 沖縄県 |
設計者 | 株式会社 建設技術研究所・株式会社 中央建設コンサルタント共同企業体 |
施工者 | 錢高・竹中土木・國場特定建設工事共同企業体 |
工 期 | 2006年12月23日~2010年3月25日 |
橋 長 | 315m |
構造形式 | 上路式RC固定アーチ橋 |
■開通式
2010年12月18日、名護市我部(屋我地島)と今帰仁村天底(本部半島)を結ぶワルミ大橋の開通式典が盛大に開催されました。式典には両市村の関係者や地域の方々が多数参加し、テープカットのあと橋の渡り初めを行い、開通を祝いました。
ワルミ大橋の開通により、本部半島方面から屋我地島、古宇利島へのアクセスが改善され、観光業の振興発展や行政サービスの向上が期待されます。
橋梁全景(2011年2月)
左側は本部半島・今帰仁(なきじん)村 右側が屋我地(やがじ)島、上方に見えるのが古宇利島
開通式
構造 Structure
ワルミ大橋の構造的な特長として、スパンが長いことが挙げられます。コンクリートアーチ橋としては国内で5番目、合成鋼管アーチ巻立て工法で施工されるアーチ橋としては国内最長となるスパン長を有しています。
施工 Construction
ワルミ大橋は、アーチリブの施工に合成鋼管アーチ巻立て工法を採用しています。この工法は、鋼管でアーチ部分を先行架設し、鋼管内にコンクリートを充填して剛性を高めた後、鋼管アーチの外周にコンクリートを巻立てていく工法です。
鋼管アーチの施工step1 鋼管アーチ架設コンクリート充填step2 鋼管内へコンクリート充填鋼管は、ケーブルクレーン斜吊り工法で架設しました。鋼管は、陸上の製作ヤードで組み立て、ケーブルクレーンで海上の施工場所に運びます。施工場所は海風が強いため、鋼管を運搬する前は気象情報をこまめに確認し、現場に設置した風速計で計測しながらの作業となりました。
鋼管は計画通りの位置に設置後、ボルトを締めて固定します。この作業を繰り返しながら30ブロックの鋼管を順次架設し、アーチ頂上部で左右を連結して架設が完了します。その後、アーチ左右の根元部分の施工を行い、鋼管内にコンクリートを充填します。
コンクリートの巻立ては、鋼管アーチを足場にして移動作業車で施工します。巻立てコンクリートは、全51ブロックからなり、アーチ左右の根元から頂上部へ向かって両側から施工していきます。
鉄筋を組み立て、型枠を組み、コンクリートを打設します。コンクリートが固まったら型枠を解体し、次のブロックを施工するために移動作業車を動かします。この作業を繰り返し、頂上部を目指します。
2009年9月、巻立てコンクリートの施工が完了し、補剛桁(ほごうげた)の施工を開始しました。補剛桁とは、アーチ橋においてアーチ部材と力を分担し合って路面の荷重に耐える力を持たせた桁を言います。ワルミ大橋の補剛桁は、全部で7ブロックに分かれており、2009年10月に全ての桁の架設を完了しました。
土砂、コンクリートの流出防止
周辺は国定公園に指定されており、魚の養殖も盛んな地域です。施工箇所は赤土で覆われており、施工にあたっては周辺道路の舗装や粉塵対策、掘削箇所のシート養生など、雨による赤土の流出を防止しました。
コンクリートの打設は大半が海上での施工であり、コンクリートの落下防止やセメントの流出防止対策を設置しました。
水質汚濁防止ネット
赤土流出対策の沈砂池
地域との交流
橋梁ができるまでの各段階で見学会を開催し、地域の方々に現場を見学して頂きました。作業所には見学者ルームを開設し、展望台に望遠鏡を設置して見学者の方々が作業を見やすいようにしました。
ワルミ大橋(現在は橋上整備中)の開通により、沖縄北部地域の生活圏の拡大、通勤・通学や医療・福祉サービスの向上、観光ルートの形成などの地域振興が期待されます。現地の方々の利便性向上につながる仕事に携わることができたことを誇りに思います。
見学会を実施
望遠鏡を設置